メニュー
  1. トップ>
  2. 院長コラム>
  3. 口腔内の衛生管理について

口腔内の衛生管理について

歯や歯周組織への影響を「義歯の清掃不良」という観点でみてきましたが、口腔内で発症する疾患には、稀なものからよく起こるものまで多くの種類があります。実は、義歯の清掃不良で起こることは、歯周病だけではありません。

カビの一種「カンジダ菌」

    口腔内の常在菌には、「カンジダ・アルビカンス」というカビの一種(真菌)が存在し、これが義歯に付着することがあります。
    菌は義歯や歯の周りで増殖して、周囲の歯肉や粘膜へと入り込んでいきます。ある論文では、歯周病との関連性を示唆する症状にも寄与しているそうです。

主な症状

特徴的な症状としては、口の両方の角が荒れたり切れたりして(いわゆる「あくち」のような口角炎の状態)、口が開きにくくなり食事に影響することもあります。
寝たきりなどで免疫力が下がっている方によく見られる傾向がありますが、栄養状態の改善と十分な衛生管理を行えば、一般的には大きな問題にはなりません。

検査と治療

カンジダ菌の検査は、医科・歯科のどちらでも、保険適用で検査が可能です。
細菌検査で菌の量を判別できますので、気になる症状がある方は、一度主治医の先生にご相談してみてもよいでしょう。
もし口腔カンジダ症と診断されても、口腔内に塗るペースト状の治療薬がございますので、過度な心配はいりません。(ただし、薬の味はかなりまずく、口の中もべたべたするため、治療中の使い心地はあまり良くありません…。)
カンジダ症は口以外の場所で起こるイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、予防法は同じです。丁寧な口腔ケアや義歯ケアで十分に対策できますので、日々の健康維持とともに心がけましょう。

最後に

義歯のケアって面倒ですよね。
いろんな問題が起こりやすいので、私たちも安易に歯を抜くお話はできません。しかし「義歯になったら歯ブラシしなくてもいい」とおっしゃる高齢の男性患者様が多いのを、実際の現場でよく目の当たりにします。改めてご自身の口の状況をよく観察して、今後の人生のためにも、ご自身で体を守ってほしいと常々感じております。

次回はさらに、粘膜の疾患などをお話ししていく予定です。

▲ページの先頭へ