10月8日は「入れ歯の日」とされています。日々あまり注目されることの少ない歯科治療の中でも、この機会に「義歯(入れ歯)」について考えてみましょう。
最近は嚥下機能(飲み込む力)に関する話題を続けていますが、義歯もまた口腔機能を改善する一つの大切な手段です。
実際には、自然に抜けるよりも歯科医院での抜歯によって歯を失うケースが多いのが現状です。
歯が抜けた部分を放置しておくと、周囲の歯がその隙間を埋めようと動き始めます。これによってかみ合わせ(咬合)が少しずつ変化し、顎の位置もずれていくのです。
かみ合わせが悪くなると、顎が前後左右にズレやすくなり、結果として顎関節が不安定になって舌の動きにも影響することがあります。
実は「飲み込む」動作には、一定の顎位(顎の位置)とかみ合わせの高さが必要なのです。
歯がなくなった部分に義歯を装着することで、かみ合わせを回復し、飲み込みやすい顎位に戻すことができます。
この「入れ歯の高さ」を決める作業は非常に繊細です。型取りだけでなく、顔貌の写真を撮って顔全体とのバランスを実寸で確認しながら進めます。男女差や人種差も、わずかながら影響します。
義歯を持っていても、今の口腔機能と義歯の形が合っていないまま使い続けていると、不快感やかみ合わせの乱れが起こります。
場合によっては、以下のような対応が必要になることもあります。
義歯の調整や新しく製作を行う前には、まず口腔内の状態が義歯装着に適しているかを丁寧に診査することが大切です。
診査を怠ると、どれだけ調整しても合わず、結局使えない入れ歯になってしまうこともあります。
不快感があるときは我慢せず、主治医にきちんと相談することが最も大切です。